言わずと知れたNEC PC-98LTは、PC-9801シリーズとの互換性は高くない白黒ラップトップだ。 27-Jul-2014、偶然立ち寄った場末のハードオフで発見してしまったため、詳細をレポートする。
NECPCのサイトによると、PC-98LT本体は以下の5種類が存在する。 いずれもCPUはV50 8 MHzである。
この中で、Models 1, 2とModels 11, 21, 22の2つのグループ間ではコネクタやスイッチの位置が異なる。
また、Models 1, 2では標準RAMが384 KBytesなのに対しModels 11, 21, 22では標準RAMが640 KBytesに増えている。
Models 1, 11では諸元表の拡張スロット数
の欄には1(モデムボード専用)
と記載されているが、Models 2, 21, 22ではここは空欄になっている。
Models 2, 21, 22は熱転写プリンタとのセットのモデルという情報がある [pc-9800.net]。
Models 21, 22はスペックシート上では同一であり、この2つがどう違うのかは不明。
今回私が入手したのはModel 1か2だ。
NECから販売されていた拡張機器のうち、以下のものがNECPCのウェブサイトに掲載されている。
増設RAMボードを接続することで256 KBytes メモリを増やし、合計640 KBytesに拡張することができる。 今回入手したPC-98LT/1は増設RAMボード付きで、640 KBytesを認識していた。
通信制御アダプタPC-98LT-03の備考に興味深い記述があり、
PCー98LTmodel11/21/22およびPCー9801LVとの接続には拡張装置接続ケーブル(PCー98 LTー14:別売)が必要です。
とのことなので、Models 1, 2とModels 11, 21, 22は拡張コネクタの形状が異なり、後者はPC-9801LVと共通のようだ。
PC-98NOTE系のシステムと異なり、LCD開閉の支点はケース端である。
電源スイッチはLCDを開けるとアクセス可能で、電源ON/OFF、バッテリ残量低下LED、蓋の開閉と電源を連動させるかを切り替えることができるスイッチが存在する。
電源スイッチは完全なハードスイッチではなく、電源ONするために左側に押し込み、手を離すと水平な状態まで戻ってくる。
ソフトウェアから電源OFFできるため、この状態から再度電源を入れるためにはもう一度電源ON側に押し込めば良い。
電源を切るには右側を押し込むことでスイッチは傾いたままになり、強制的に電源OFFすることができる。
なお、このようにPC-9801LSと比較すると、PC-98LTが小型で持ち運びに適していることが分かる。
分かる…?
ケースの色はPC-9801LSより濃い。
キーボードはROLLUP/ROLLDOWNが省略されている。
矢印キーはPC-9801のデザインではなく、文豪mini5Eのものに近い。
HOMECLRが訳分からない位置に存在するが、それ以外はピッチも十分で非常に打ちやすい。
バッテリ(PC-98LT-11)はキーボード上の蓋を開けたところにある。
7.2V/1700mAhで、有害物質の警告がないところと液漏れしている感じから判断するとNiMHかな?
P-17S-F6G1, 製造メーカー: 松下電器産業株式会社 などと書いてある。
背面には電源入力端子、RS-232C、プリンタのコネクタがある。
プリンタはPC-98系というよりSHARP X68kやX1についてるタイプのものに雰囲気が似ているが、ピン数は16であり、SHARPの14ピンとは異なる。
RS-232Cコネクタには蓋がついており、この蓋は押し込まれているだけで、片側をさらに押し込むと反対側が少しせり上がるので、そこに爪を引っ掛けて取り外した。
前面にはコントラスト調整ボリュームがある。
PC-98LTは電源LEDやバックライト、HDDなどの回転する部品が存在しないので、コントラスト調整がおかしいと、電源を入れても何も起きていないように見えてしまう。
左側面にはリセットスイッチと拡張バスがある。
リセットスイッチは指先が異常に細い人以外は何らかの道具がないと押せない。
拡張バスは蓋があり、VMEカードやNuBus等でお馴染の、割と特性の良いあのコネクタがある。
ピン数は3×32で96ピンだ。
右側面には1MB FDDと拡張モジュールベイがある。
裏側から押すことで拡張モジュールは取り外し可能だ。
拡張モジュールには型番が印刷されていないが、状況から判断すると大きい方がメモリモジュールのPC-98LT-01または01Nで、小さい方がモデムスロットの穴埋めかな?
なお、裏側にあるスイッチはバックアップ電池のON/OFF切り替えを行うもの。
本体への電源供給だけでなく、周辺機器用の電源も内蔵している。
P1/J1がDC 10 V 2.3 Aで、J2がDC 7.5 V 0.2 Aだ。
センターマイナス。
TOKIN製で、PU437という型番も書いてある。
起動時に音が鳴る。
ただし、PC-9801シリーズのピポ音ではなく、「ピ」と短い音がでるだけである。