PC-98LTのROMには、MS-DOS 3.10が焼かれている。
表示はPC-9801シリーズに似ているが、起動直後のバナーがNEC PC-98LT Personal Computerとなっており、同バージョンのPC-9801向けMS-DOSとは異なることを示している。
鋭い方ならスクリーンショットを見て気づくと思うが、フォントがPC-9801シリーズと若干異なる。
特にy
やA
などは、PC-9801のCGROMでは斜め部分を45°でストロークを引いているのに対し、PC-98LTではなめらかなストロークとなっており、どちらかというとEPSON PC-286シリーズに似ている。
もしかして設計はEPSONだったりして…というのは勘繰りすぎだろうか。

FDDにディスクを入れて起動しても、システム自体はROMから読んでいるようである。
ただし、COMMAND.COMやCONFIG.SYS、AUTOEXEC.BATはディスクから読む。
ROMは当然ながら設定ファイルを編集できない。
起動デバイスに関わらず、ROMはドライブ名Cが割り当てられる。
ROMには以下のファイルが書き込まれている:
ドライブ C: のディスクのボリュームラベルはありません.
ディレクトリは C:¥
COMMAND COM 23942 86-08-20 0:00
ASSIGN COM 1787 86-08-20 0:00
ATTRIB EXE 8262 86-08-20 0:00
BMMGR COM 1491 86-08-20 0:00
CHKDSK EXE 9776 86-08-20 0:00
COPYA COM 1319 86-08-20 0:00
CONFIG SYS 52 86-08-20 0:00
CUSTOM COM 5532 86-08-20 0:00
DISKCOPY COM 4016 86-08-20 0:00
DUMP COM 1670 86-08-20 0:00
EDLIN EXE 7394 86-08-20 0:00
EXE2BIN EXE 2880 86-08-20 0:00
FORMAT EXE 11390 86-08-20 0:00
FC EXE 14018 86-08-20 0:00
FIND EXE 6483 86-08-20 0:00
JOIN EXE 8930 86-08-20 0:00
KEY COM 4531 86-08-20 0:00
LABEL EXE 2916 86-08-20 0:00
MORE COM 271 86-08-20 0:00
MSASSIGN COM 1509 86-08-20 0:00
MENU COM 7092 86-08-20 0:00
MSDOS MNU 1850 86-08-20 0:00
PRINT EXE 8472 86-08-20 0:00
POWEROFF COM 9 86-08-20 0:00
RECOVER EXE 4183 86-08-20 0:00
RAMDISK SYS 1325 86-08-20 0:00
SWITCH COM 1892 86-08-20 0:00
SPEED COM 1209 86-08-20 0:00
SHARE EXE 7904 86-08-20 0:00
SORT EXE 1680 86-08-20 0:00
SUBST EXE 9864 86-08-20 0:00
SYS EXE 2751 86-08-20 0:00
SYMDEB EXE 36538 86-08-20 0:00
SAMPLE MNU 3548 86-08-20 0:00
USKCGM COM 4119 86-08-20 0:00
NECDIC DRV 25773 86-08-20 0:00
N88BASIC EXE 82432 86-08-20 0:00
LIBMAINT COM 2566 86-08-20 0:00
AUTOEXEC BAT 17 86-08-20 0:00
39 個のファイルがあります.
107520 バイトが使用可能です.
ROMのAUTOEXEC.BATでは、MENU.COMが自動起動するようになっている。
ROM中のファイルでPC-9801用のMS-DOSにないものとして、BMMGR.COMとPOWEROFF.COMがある。
BMMGR.COMはバックアップメモリへの退避・復元を行うユーティリティで、POWEROFF.COMはわずか9バイトで、電源を切ってくれる便利なプログラムである。
CHKDSKで調べると、ROMは512 KBytesあるようで、ROMから初期状態で起動すると空きメモリは560 KBytesとなる。
518144 バイト : 全ディスク容量
67584 バイト : 2 個のシステムファイル
343040 バイト : 39 個のユーザーファイル
107520 バイト : 使用可能ディスク容量
655360 バイト : 全メモリ
560304 バイト : 使用可能メモリ
ROMからMS-DOSを起動するとメニューが自動で開始するようになっている。
このメニューは5画面で、ROMに入っているプログラムを起動できるようになっているだけだ。

ROMの中のN88BASIC.EXEが、N88-BASIC(LT)である。
初期状態で起動するメニューの一番上の項目がこれだ。
PC-9801のMS-DOS版N88-BASICと操作感は同一で、system文でDOSプロンプトに戻れる。
PC-9801版との違いとして、screen文で画面モードをスイッチせずに640×400の画面に線を引けた。
また、color文は反転のみはサポートしていた。
