ちょっと前にIBM RT PCのプロセッサボード転がっているのを見かけて、写真を撮っておいたので紹介。 ボードの紹介はRT PC Processor Board [ardent-tool.com]が参考になる。 さらに、このボードについての公式の詳細はSA23-1057. IBM RT Personal Computer Technology (1986) [ardent-tool.com]が詳しい。特に16ページあたりに図面がある。
RT PC (6150/6151) は、時系列としてはPC AT (5170) より後の1986年に発売された [bio.gsi.de]コンピュータで、 IBM が自前で設計したCPU を搭載していてAIX という名前のUNIX が動くという点でRS/6000, eServer pSeries, Power Systems の前身にあたるといえるシリーズだ。
この自前のプロセッサはROMP と呼ばれていて、32-bit のGPR が16 個という点からPOWER (PowerPC)系と大きく異なることが分かるのだが、さらにROMP は命令長が16-bit または32-bit と可変長で、これもPOWER と全然異なるし、他のいわゆるRISC 系とも考え方に違いがある。
もっともPOWER もCTR
レジスタや MQ
レジスタ、stmw
命令などこれ本当にRISCと言っちゃって良いのかな? みたいな部分は多い。
ボード
ROMP のMSTパッケージのチップの缶の部分が剥がされている状態で発見されたカード。 左隣がMMU のチップのはずで、こちらはヒートシンク含めてそのまま残っていた。 MICROCODE と書いたROM が4 つもある。これでもRISC と言いきってしまうことに潔さすら感じる。

裏側はこんな感じ。 5110の基板と似ていて、設計ツールの都合なのか、配線が一旦格子状に並んだ貫通穴に出てから、目的地までこれを避けながら通っていく。

右側のMST チップの型番が読みにくいので近寄って撮った写真.

同じく左側のMSTチップ。

豆知識
IBM は、初代PC (5150) からPC と名前がつく製品はリセット専用ボタンはなく、 これはPC AT (5170)と PS/2、さらにその後の PC 300シリーズまで一貫していた。 RT PCも同じ系統でリセットボタンはない。 一方、初期のRS/6000は本体真ん中の非常に押しやすそうな位置にリセット専用ボタンがある。 ≪必要≫だったのだろうか。
なお5110にはリセット専用のスイッチが押しやすい位置にある。