2026-10-17, Sandy Bridge (第2世代Intel Core) のノートパソコンは誰も見向きしなくなった昨今。 不要になったということで頂いたノートパソコンにCore i7 2860QM が載っていたものの、ファンが不調でそのまま使えない状況だった。 私が15 年ほど使っているHP Elitebook 8460w は同じソケットのCore i7 2630QM が載っていて、これを載せ替えてどれくらい性能が向上するか測ってみた。 結果も言ってしまうとクロック向上分そのまま性能が上がって、特に面白い結果ではなかったので特別興味が無ければここまでで読むの止めてもらったほうが良いです、、、
新旧CPU諸元
載せ替えるCPU の諸元は以下の通り。
| 載せ替え元 | 載せ替え先 | |
|---|---|---|
| 製品名 | Core i7 2630QM | Core i7 2860QM |
| S-Spec | SR02Y | SR02X |
| コア数/スレッド数 | 4/8 | ← |
| クロック(TB最大) | 2.0 (2.9) GHz | 2.5 (3.6) GHz |
| L3キャッシュ | 6MB/12-way | 8MB/16-way |
| メモリ速度 | DDR3 1066/1333 | DDR3 1066/1333/1600 |
| VT-x | 〇 | ← |
| VT-d | × | 〇 |
| TDP | 45W | ← |

クロックとかキャッシュ容量は製造上の都合というのはわかるが、メモリクロックも対応状況が異なるし、VT-d は機能面で差がある。 とはいえノートパソコンだと活用するのは一般的ではない機能かもしれない。
Linux の/proc/cpuinfoだとこのように出る:
processor : 7 vendor_id : GenuineIntel cpu family : 6 model : 42 model name : Intel(R) Core(TM) i7-2630QM CPU @ 2.00GHz stepping : 7 microcode : 0x2f cpu MHz : 800.000 cache size : 6144 KB physical id : 0 siblings : 8 core id : 3 cpu cores : 4 apicid : 7 initial apicid : 7 fpu : yes fpu_exception : yes cpuid level : 13 wp : yes flags : fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca cmov pat pse36 clflush dts acpi mmx fxsr sse sse2 ht tm pbe syscall nx rdtscp lm constant_tsc arch_perfmon pebs bts rep_good nopl xtopology nonstop_tsc cpuid aperfmperf pni pclmulqdq dtes64 monitor ds_cpl vmx est tm2 ssse3 cx16 xtpr pdcm pcid sse4_1 sse4_2 x2apic popcnt tsc_deadline_timer aes xsave avx lahf_lm epb ssbd ibrs ibpb stibp tpr_shadow flexpriority ept vpid xsaveopt dtherm ida arat pln pts vnmi md_clear flush_l1d vmx flags : vnmi preemption_timer invvpid ept_x_only flexpriority tsc_offset vtpr mtf vapic ept vpid unrestricted_guest bugs : cpu_meltdown spectre_v1 spectre_v2 spec_store_bypass l1tf mds swapgs itlb_multihit mmio_unknown vmscape bogomips : 3991.16 clflush size : 64 cache_alignment : 64 address sizes : 36 bits physical, 48 bits virtual power management:
processor : 7 vendor_id : GenuineIntel cpu family : 6 model : 42 model name : Intel(R) Core(TM) i7-2860QM CPU @ 2.50GHz stepping : 7 microcode : 0x2f cpu MHz : 947.396 cache size : 8192 KB physical id : 0 siblings : 8 core id : 3 cpu cores : 4 apicid : 7 initial apicid : 7 fpu : yes fpu_exception : yes cpuid level : 13 wp : yes flags : fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca cmov pat pse36 clflush dts acpi mmx fxsr sse sse2 ht tm pbe syscall nx rdtscp lm constant_tsc arch_perfmon pebs bts rep_good nopl xtopology nonstop_tsc cpuid aperfmperf pni pclmulqdq dtes64 monitor ds_cpl vmx smx est tm2 ssse3 cx16 xtpr pdcm pcid sse4_1 sse4_2 x2apic popcnt tsc_deadline_timer aes xsave avx lahf_lm epb ssbd ibrs ibpb stibp tpr_shadow flexpriority ept vpid xsaveopt dtherm ida arat pln pts vnmi md_clear flush_l1d vmx flags : vnmi preemption_timer invvpid ept_x_only flexpriority tsc_offset vtpr mtf vapic ept vpid unrestricted_guest bugs : cpu_meltdown spectre_v1 spectre_v2 spec_store_bypass l1tf mds swapgs itlb_multihit mmio_unknown vmscape bogomips : 4988.58 clflush size : 64 cache_alignment : 64 address sizes : 36 bits physical, 48 bits virtual power management:
MS-WindowsのCPU-Zの表示はこう。
こちらでは特にVT-d は表示されない:

載せ替えのコツ
HP EliteBook 8460wは、ネジ無しで裏蓋を開けられて、そこからネジ2本でファンを外せる。 さらにヒートシンクをCPU/GPUに固定するネジを合計8本ゆるめるだけでCPU をソケットから外せる状態になる。 Socket G2 なのでソケットに付いているネジを半回転させればCPU は力を入れなくても外れるはずだ。
戻すときは逆に作業すれば良いのだが、CPU のソケットのネジを半回転させて閉めるのを忘れがちなので注意が必要。 そんなの忘れない、と思うかもしれないが、デスクトップ用のソケットと異なりレバーが上に飛び出していてヒートシンクが載せられないような状態にはなるわけではないので、忘れると最後まで気づかないかもしれない。
初回起動時にF10を押してBIOS の初期化をする必要があった。 事情はわからないが、BIOS設定を初期化しないとブートローダを読む前後で電源が切れてしまって「もうダメかな?」みたいな怖い動作になっていた。 VT-x やVT-d は初期設定から有効化が必要なので、このタイミングで設定を入れておいたほうが便利だろう。
なお、CPU とメモリの両方をDDR3-1600 に対応するように入れ替えても、BIOS がDDR3-1333 までの設定しか入れてくれなくてDDR3-1333 相当の動作となった。
SPD としては1600 までの設定が入ってそうなことは確認できるのだが:

性能向上
CPU の性能評価には業界標準のSPEC CPU2006 ベンチマークを用いた。 ここではシングルスレッドの性能評価に使っている。 Debian Trixie の上でAlmaLinux 8.10 のコンテナを動かしてその中で測定している。 コンパイラは全てGCC 7.3.0。 基本、クロック向上分そのまま性能が上がっているが、L3キャッシュが6MB から8MB に増えたことで、この容量に入るワークロードではクロック向上分以上に性能が上がったようだ。
参考用のデータはIntel N100 搭載のChromebook の結果で、整数系のワークロードにおいてはN100 より3割以上遅い状態から、N100 よりちょっと遅いくらいの性能まで改善した。
マルチスレッドの性能評価はNAS Parallel Benchmarks (NPB) 3.3.1 のOpenMP 版を用いた。
平均的にはクロック上昇分だけ性能も上がるが、cg やmg などメモリ律速のものはメモリが同じ速度なのでほとんど改善しない。
N100 は物理コア数は同じだが、ファンレスの製品なので、OpenMP で全コア回すような状況では性能を維持できないようだ。 結果としてSandy Bridge に負けてしまっている。 数値計算のような作業なら、多少古くても冷却がしっかりしているパソコンの方が得意ということもある。 その分ファンの音は煩いのだが。
メモリはやはり速くはなってなさそうという確認で、non-temporal store を使ってキャッシュをバイパスしてメモリの転送速度を測る拙作membwを使った結果がこれ:
DDR3-1333 デュアルチャンネルの理論値が 21 GB/s くらいなので、それなりに納得感のある転送速度は出てはいるが、CPU を替えたからといってDDR3-1600 にはなっていなさそうだ。
結論
Sandy Bridge 世代のノートパソコンは、上位のSKU に載せ替えることでほぼクロック向上分がそのまま性能向上として期待できることが確認できた。 一方、TDP 45W の最上位SKU であってもIntel N100 にちょっと負けるくらいの性能であることも裏付けがとれた。 Linux で使う限りそれなりに快適に使えるので(私はEnlightenment 環境で使っている)、N100 とSandy Bridge の両方を楽しむ、そういう姿勢で使う分には良いのではないだろうか。