100均のUVランプでEPROMを消去できるか実験

ネイルアートで使用するレジンを固めるためのUVランプが100均で売られている。 UVといえばEPROMの消去で頻繁に使用するが、100円+税で買えるようなものでも消去できるの実験してみた。

使ったもの

UVランプはSUN mini UVLED Nail Lampと書かれている製品を使用した。 6連のLEDがついており、照射に便利なちょうどいい感じの長さの足がついており、USB microB で給電できる。

100均にあったUVランプ。
100均にあったUVランプ。Nail Lampというのもnail itみたいな雰囲気を感じて好き。

あまり詳しくないのでよくわからないのだが、LEDは単一の波長を出すはずなのに、不可視のはずの紫外線がこのLEDから出てくるのが私は見える。

6連LED
裏側には6連のLEDを搭載。

唯一の操作ボタンである照射開始ボタンを押すと照射開始して、数分で自動で電源が切れるような作りになっていた。 このままだと連続で照射し続けたい場合に都合が悪いので、基板を適当に勘で修正して、自動で電源が切れる部分を無効化した。 ボタンを押すと点灯して、その後電源を抜くまで光り続ける。

基板
全然わからないが、適当にココとココつないだら、ボタン押してしばらくすると自動で切れるのを無効にできた

UV EPROMとして、手持ちのチップの中から、密度がそこそこ離れているTexas Instruments TMS2764JL-25 (8 KBytes)と、Toshiba TC571001AD-150 (128 KBytes)を選んで使用した。

TMS2764JL-25とTC571001AD-150
TMS2764JL-25とTC571001AD-150

ROMの読み出しには、Advantest R4945A (Rev.K00) を使用した。

Advantest R4945A EPROM Programmer
Advantest R4945A EPROM Programmer

結果

UV照射
ダンボール箱の中で照射。燃えないとよいが・・・
2022-01-09T08:40:00+0900ごろ
照射開始。
2022-01-09T13:21:00+0900
試しにTC571001AD-150読んでみた。1 ビットも変わってない。
2022-01-10T09:00:00+0900ごろ
両方のROMを読んでみた。 R4945AのCOPY機能(ROMから内蔵RAMへの読み出し機能)でエラー74 01が出るので、中途半端に消えていて、複数回読み出すと同じ番地から違うデータが読める模様。 うっかりして、試しにPROGRAMもしてしまったが、当然ベリファイは成功せず。 もう一度照射に戻す。
2022-01-10T18:00:00+0900ごろ
R4945のCOPYで同じエラーが出る状態。 もう少し照射の時間が必要そう。
2022-01-11T21:37:02+0900
TC571001AD-150がブランクチェック通るようになった。 最後のPROGRAMのあとからの照射時間は1.5日くらい。 密度の差か、同じチェックでTMS2764JL-25はまだFFとなるべきところFDが帰ってくるというエラーがでる。
2022-01-12T07:29:29+0900
TMS2764JL-25はまだブランクチェック通らない。 引き続き照射する。
2022-01-13T13:06:01+0900
TMS2764JL-25がブランクチェック通った。

わかったこと

UV EPROMの製造テクノロジまたは密度により消去にかかる時間は異なるが、1.5日から3日で消去することができた。 紫外線の照射で、1ビットも変わらない状態から、読み出しが不安定な状態を経て、全アドレスがFFhになることが観察できた。

また、EPROMの消去にかかった時間から逆算して、ネイルアート用のUV照射器はおおむね晴れた日の日光と同じようなオーダーの紫外線が出ていそうと言える。

結論

100均のUVランプはUV EPROMの消去に活用できるため、ネイルアートを趣味でやっている人が急にUV EPROMを消去したくなったり、逆にUV EPROMを日常的に消去している人がネイルアートに興味が出た場合に有力な選択肢になる。 一方で、通常のEPROM 消去のランプを使うと数分で消せるので、時間をかけてじっくり消したかったり、絶対に100円+税でROMを消去したいなどのモチベーションがないとこの装置をあえて選ぶ必要はなさそう。

出先で急にROMを消さないといけない、という場合は覚えておくと便利なアイテムだ。