ネイルアートで使用するレジンを固めるためのUVランプが100均で売られている。 UVといえばEPROMの消去で頻繁に使用するが、100円+税で買えるようなものでも消去できるの実験してみた。
使ったもの
UVランプはSUN mini UVLED Nail Lamp
と書かれている製品を使用した。
6連のLEDがついており、照射に便利なちょうどいい感じの長さの足がついており、USB microB で給電できる。

Nail Lampというのも
nail itみたいな雰囲気を感じて好き。
あまり詳しくないのでよくわからないのだが、LEDは単一の波長を出すはずなのに、不可視のはずの紫外線がこのLEDから出てくるのが私は見える。

唯一の操作ボタンである照射開始ボタンを押すと照射開始して、数分で自動で電源が切れるような作りになっていた。 このままだと連続で照射し続けたい場合に都合が悪いので、基板を適当に勘で修正して、自動で電源が切れる部分を無効化した。 ボタンを押すと点灯して、その後電源を抜くまで光り続ける。

UV EPROMとして、手持ちのチップの中から、密度がそこそこ離れているTexas Instruments TMS2764JL-25 (8 KBytes)と、Toshiba TC571001AD-150 (128 KBytes)を選んで使用した。

ROMの読み出しには、Advantest R4945A (Rev.K00) を使用した。

結果

- 2022-01-09
T
08:40:00+0900
ごろ - 照射開始。
- 2022-01-09
T
13:21:00+0900
- 試しにTC571001AD-150読んでみた。1 ビットも変わってない。
- 2022-01-10
T
09:00:00+0900
ごろ - 両方のROMを読んでみた。
R4945AのCOPY機能(ROMから内蔵RAMへの読み出し機能)でエラー
74 01
が出るので、中途半端に消えていて、複数回読み出すと同じ番地から違うデータが読める模様。 うっかりして、試しにPROGRAMもしてしまったが、当然ベリファイは成功せず。 もう一度照射に戻す。 - 2022-01-10
T
18:00:00+0900
ごろ - R4945のCOPYで同じエラーが出る状態。 もう少し照射の時間が必要そう。
- 2022-01-11
T
21:37:02+0900
- TC571001AD-150がブランクチェック通るようになった。 最後のPROGRAMのあとからの照射時間は1.5日くらい。 密度の差か、同じチェックでTMS2764JL-25はまだFFとなるべきところFDが帰ってくるというエラーがでる。
- 2022-01-12
T
07:29:29+0900
- TMS2764JL-25はまだブランクチェック通らない。 引き続き照射する。
- 2022-01-13
T
13:06:01+0900
- TMS2764JL-25がブランクチェック通った。
わかったこと
UV EPROMの製造テクノロジまたは密度により消去にかかる時間は異なるが、1.5日から3日で消去することができた。
紫外線の照射で、1ビットも変わらない状態から、読み出しが不安定な状態を経て、全アドレスがFFh
になることが観察できた。
また、EPROMの消去にかかった時間から逆算して、ネイルアート用のUV照射器はおおむね晴れた日の日光と同じようなオーダーの紫外線が出ていそうと言える。
結論
100均のUVランプはUV EPROMの消去に活用できるため、ネイルアートを趣味でやっている人が急にUV EPROMを消去したくなったり、逆にUV EPROMを日常的に消去している人がネイルアートに興味が出た場合に有力な選択肢になる。 一方で、通常のEPROM 消去のランプを使うと数分で消せるので、時間をかけてじっくり消したかったり、絶対に100円+税でROMを消去したいなどのモチベーションがないとこの装置をあえて選ぶ必要はなさそう。
出先で急にROMを消さないといけない、という場合は覚えておくと便利なアイテムだ。