日立

Proset30 PST-3150

日立の電話内蔵パソコン。 スマートフォンと呼んでよい? 裏側のラベルにはPROSET30 パーソナルワークツールと書かれている。 1990年の日立評論の製品紹介に掲載されており、80286(8MHz)で40 MBytesのHDD内蔵、1.2MB FDD, 640×400カラーディスプレイ搭載で、B16/B32シリーズと互換性があるとのこと [1]。 この製品紹介で言うProset 30HDに相当すると考えられる。 少なくとも2012年末まで某所で現役の電話として使われていた。 上半身は水平方向にはある程度回転するが、垂直方向には全く動かない。 上面には熱転写プリンタも内蔵されている。
日立 PROSET30 PST-3150

キーボードは下半身の下部分に隠せるようになっている。 このため、キーボードのケーブルが左下という不思議な場所から出ている。 前から見ると、リセットボタンがキーボードの脇についていることが分かる。 変わった場所だが、Apple IIeのようにうっかり押してしまう場所でないので、実用上問題ないだろう。
日立 PROSET30 PST-3150 の前面

キーボード・テンキーボード・受話器のコネクタは左右にある。 右側にはマウス置き場のへこみがある。
日立 PROSET30 PST-3150 の左面 日立 PROSET30 PST-3150 の右面

裏側にはマウス用のDE9Mコネクタ、SCSIと書いてあるフタ、RS-232C、電話線などがある。 SCSIフタは外してもフラットケーブルがつながっているだけで、見慣れたコネクタは無いように見えた。
日立 PROSET30 PST-3150 の背面

受話器の下には電話用のテンキーがある。 無駄なように感じるが、電話用のテンキーとコンピュータ用のテンキーは配列が上下逆なので仕方ない部分か。 テンキーは脱着可能。 キーボードは上のフタを開けると隠しキーが出てくる。 キャップスロックもカタカナ表記だ。
日立PROSET30 電話部分 日立PROSET30 キーボード 日立PROSET30 ファンクションキー

マザーボードはCPUボード、モデム、SCSI I/F、RAM board に基板が分かれている。 CPUボードはLSI を活用した、この世代のワープロのような佇まいの一品。 CPU もワープロでしばしば見るAMD N80L286-8/Sだ。 写真でワッシャーが基板に乗ってるのはご愛嬌ということで。
マザーボード基板DMCPU01C1

SCSI I/FはシルクでSCSI I/Fキバンと書いてあってやさしい。 載ってるチップは SCSI コントローラのHD64951MPを筆頭に、HD63A01Y0F マイコン、Oki M70HB014だ。
SCSI I/F基板 SCSI I/F基板チップ側

RAM BOARD とシルクされた基板は空き地が多い。 派生機種でもっとメモリをたくさん載せたものを予定していたのかもしれない。
RAM BOARD

モデム基板はこの世代でしばしば見る構成で、マイコンが載った独立したコンピュータになっている。 HD637A01Y0P とM5L8251AP-5、Oki M6824 が主な部品か。
モデム基板

HDD は日立製かとおもいきや、富士電機FK312S-53Rだった。 3.5インチSCSIで、製造年月は90-02。 現状これがスピンアップしない。
富士電機 SCSI HDD FK312S-53R 富士電機 SCSI HDD FK312S-53R 基板側

電源ユニット基板は大きくて、底面全体を覆う面積がある。 日立の偉い点として、ニカド電池は基板直付けではなくて、ケースの電源ファンの裏側あたりに設置している。 ただそれでも液漏れしてしまって、電源基板のダイオードを一ヶ所 (ZD101)破損してしまっていた。 ここを今後修理予定。
電源ユニット基板

参考文献

  1. 製品紹介. 日立評論 Vol.72 No.6. 1990年6月. pp.103–106. 日立評論社. 日立印刷株式会社. PDF