Lepy LP-2024A+ は、一部界隈で人気が高いオーディオアンプで、数千円で通販で買えて納得感のある音質が得られるという点は大方の共通認識になっているようだ。 主な部品にTripath TA2024 という評判が良いチップが使われている (ことが多い?)。 Tripath は有名なところではPowerMac G4 Cube 付属のUSB スピーカで採用実績がある。 Lepy の製品は低廉な価格設定もあり改造が積極的に行われていて、それぞれがベースとなるLP-2024A+ をもとに自分好みに手を加えて使っているようだ。
この価格帯の直輸入系の電気製品にしばしばあることなのだが、同じ製品でも中身が出荷タイミングによって異なるということもあるらしい。
ここから先混乱が無いよう先にしっかり書いておくと、私の手元にあるLP-2024A+は、基板が150905PCB
で、以下の写真の見た目のものだ。

発生していた問題
このアンプの音質は特に買ったままで不満は全く無かったのだが、たまにノイズを拾ってしまうことに困っていた。
しばらく問題なく動いていて、突然、
ジーッ ブッ ブッ ブッ ブッ …(フェードアウト)
といった感じでスピーカーから聞こえることがあった。
当初全く原因が掴めていなかったのだが、この音が聞こえるタイミングを整理すると、
- 音声ソースとして使ってる側面がアクリルパネルのパソコンでGPU に負荷をかけたときとか、
- エアコンを使ったときとか、
- 至近距離でLTE 接続のホームルーターでトラフィックが発生したとき
ということが分かってきて、電源またはRF 経由でノイズを拾っている感じだろうと考えた。
フレームグランド (FG)の怪
LP-2024A+ は金属製のケースに入っている。 このケースは冒頭の基板写真で見えるトーンコントロール用可変抵抗2本のフレームとは接触しているが、この可変抵抗のケースはどこにもつながっていない。 メインのボリューム調整用の可変抵抗とケースは電気的に接触していない。 したがって、前面のパネル側ではケースをGND に落とすような仕組みは無いということになる。
一方、背面側を見てみると、音声入力端子が3.5mm ステレオミニプラグとRCA 入力端子があるうち、RCA 入力端子の外周がケースと接触している。 この作りから、RCA 入力端子のシグナルグランド (SG)がフレームグランド (FG)と接触していて、あろうことか一番敏感な入力端子の一点で接続している作りに結果的になっていた。 SG とFG をつなぐのはナシではない [analog.com]と思うが、この箇所で一点で接続するのは明らかに不適切だ。
ということで、私の現象の理解は、外で電磁場が動くと、ケースがアンテナになってFG にノイズが載って、それが直接SG に入って、増幅されて聞こえてきているのでは? ということになった。
簡単な工作で解決
問題としてはシンプルで、接触箇所も一ヶ所と特定できているので、ここを絶縁すれば問題は解決するはずだ。 ホームセンターで売っているビニルテープを使って、RCA 端子の周りをきれいにマスキングする。 RCA 端子にはネジ留め箇所があり、ここも端子側のシールドが伸びているので、厚めにマスキングして巻き込む形でネジを回した際にシールドに接触しないように工夫するか、そもそもシールドを切り取ってしまうのが良いだろう。 ビニルテープは伸びるので、ほんの少し小さめに穴を切っておいて、伸ばす感じで貼り付けるとうまくいった。

ケースをつけるとこんな感じで、本来接触していた箇所がうまく隠れている。 実際ケースとRCA 端子外側部分が電気的に接続されていないかテスターで確認して完成。

結論
このビニルテープの対応を行ってから、従来しばしば発生していたノイズの怪奇現象が全く再発しなくなった。 このLP-2024A+ は電源アダプタが壊れ、スピーカーターミナルが壊れと色々な思い出がある機械で愛着があった。 今回も何とか問題を乗り越えて使いつづけられそうだ。
鎮魂
上記読んでいるとすぐに問題が特定できたように見えそうだが、実際には当初電源から回り込んでると思い込んで、基板の上にあった電源周りの電解コンデンサをとりあえず変えてみるなどしてしまった。 Jwco LOWESR と書いてあるコンデンサを取り外して交換してしまったのだが、これは特に犯人ではなかった。
