PC-9801Tの付属キーボード

NEC PC-9801T (1991年発売)は、脱着式のコンパクトキーボードが付属していた。 PC-9801シリーズのパソコンの中では数少ない「ラップトップ型」のパソコンで、取っ手がついていて持ち運べなくはないものの、10 kgを超えるので名前に反して膝の上で使うのは厳しいものだ [nec-lavie.jp]。 ただし、386SX搭載で拡張バスも2本あり、4096色中16色表示可能なTFT液晶を搭載しているため、デスクトップと遜色ない使い方ができる。 キーボードも当時のデスクトップ型と同じキータッチで、クリック感のないスコスコした感じのリニアスイッチで、非常に気持ちの良い感触のもの。 同じラップトップ型のPC-9801LSではキーボードは本体から取り外すことができないが、PC-9801Tではこのようにキーボード部分だけ取り外すことが可能。
PC-9801Tのキーボード

キーレイアウトはテンキーとvfキーをNumロックに追いやったもので、特にゲーム目的で使う場合には、テンキーで上下左右するソフトも少なくないため不便する場合があるだろう。 このキーボードではテンキー接続ポートが右側についているため、どうしてもテンキーが必要なソフトの場合は外付けで対応することになる。

接続端子はふつうのPC-98キーボードと同じもので、L型端子になっている。 これに関してNECのえらいところは、初期のキーボードでL型端子を採用したあと、PC-9821As2以降でキーボード端子が本体背面に移り、付属キーボードもまっすぐなコネクタに変更になったものの、L型端子の古いキーボードを使う場合でも本体側で隣接するマウス端子などと干渉しないようなポートの配置を維持したことだ。 こういった気遣いは単一のメーカーでやっているから実現できたところかもしれない。 このキーボードでは、本体と連結して使用しているときにカールコードを入れておける蓋がついている。

後側には高さ調整用の足(使うか使わないかの2段階)がついていて、本格的なコンパクトキーボードとして単体でも使い勝手は良い。

NECのキースイッチ
スイッチにはNECの旧ロゴがモールドされている。

キースイッチはNEC製で、クリーム色のレーストラック型の軸と黒色のハウジングが特徴のリニアスイッチ。 メカニカルで非常に感触は良いのだが、製造から30年を過ぎてだんだん調子が悪いことにごまかしが効かなくなってきており、しばらく使わないと入力にうまいこと反応しないキーも増えてきた。 使っているうちにだんだん調子は良くなってくる。 キーキャップは二色成形で、黄ばみはすれど掠れることはない。